女は女である

雑記帳

春学期

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最近のことについて。

今学期は、一つの必修科目を除いて政治科目をとることにした。もう3年生だし、自分の専門を深める時期に来ているのかなあ、なんて思っている。

とってる授業

Ancient Political Thought 

The Concept of Power in Political Theory

Media, Society and Political Identity

Honors Seminar

 政治理論に関する授業は内容が抽象的だから、慣れてきたと思っていたディスカッションパートにも簡単にはついていけず、自分の意見をすらすらと言うことができないので、いつも歯がゆい思いをしている。でも、ギリシャ悲劇やペロポネソス戦争、理論の要旨のみしか学んだことのないホッヴスやマキャヴェリをじっくり読むのはとても有意義な行為だと思う。向き不向きはともかくとして、もともと哲学や思想が好きな私にとってはこの上なく興味深い授業たちである。

 Ancient Political Thoughtの授業はすべてが教授と生徒たちとの対話で構成されている。教授は生徒たちの意見からきらきらと光る要素を巧みに取り出し、わたしたちの前で磨き上げ、それを黒板の上に広げてみせる。ひとりで読んでいたときには気がつかなかった要素を発見したときは、ほとんど快感に近いような、するどい感覚が身体に行きわたるのを感じる。その感覚にやみつきになってしまったわたしは、授業のある日は授業を朝から楽しみにして過ごしているよ。

 Honorsというのは、わたしが所属しているプログラム(Honors)の学生向けの授業で、地域でボランティアをし、そこで発見したこと、そして一年の留学経験で得たもの、などを混ぜ合わせて最終プレゼンテーションをする、というもの。

 わたしは日本にいるあいだ、学生団体に参加してみたり、イベントへいってみたり、旅をしてみたり、大人のウェブメディア立ち上げを手伝ったり、インタビューワーになってみたり、いろいろしていたけれど、求めていたのは、こんなふうに、じっくりと勉強をすることだったんだなあ、っていまになってやっとわかったよ。

 

 大学を編入したいなあ、とばかり考えている。もちろん東京でのあの快適で、リズミカルで、毎日が愉快な、パステルカラーのスムージーみたいな生活にとてつもない愛着は抱いているけれど。こちらの大学の授業のレベルの高さ、そしてマイノリティとしての感覚を経験してしまった今、また元の大学で勉強していて果たしてわたしは満足できるのだろうか、なんて考えている。

 それに、この「なじまない」感じを、若くて、落ち込んでも回復できる余裕のあるうちに、もうすこし経験しておきたいのだ。日本での生活は文句なく楽しかった。15年間慣れ親しんだ東京の街、気のおけない同級生、わたしの手の中にあることばたち、雑居ビル、ネオンライト、汚い街の中にある非現実的なくらいに洗練されたカフェ、キッチュな歌詞のJポップ、そのすべてに、子どものころのお気に入りのおもちゃのような、捨て難い愛着を感じている。そして、社会がわたしを認めている、という、とてつもなく暖かく、強い、私のアイデンティティの裏付けが、日本にはあった。わたしはどうみても日本人だし、若くて健康で、そこそこの学歴をもっていて、おとなしくさえしていれば世間からうとまれない、マジョリティのひとりだから。

 アメリカの生活は、なかなかうまくいかない。チーズとトマトとバターと小麦の配分と火加減をかえただけだとしか思えないような食事たち、思うように操れない英語、意味はわかるけれどニュアンスまではわからないことばたち、クールすぎる音楽、過剰に見えるボディエクスプレッション、すべてが自分の肌にしっくりとこない。でもこの感覚は、若いうちに経験しておくべきだと思うのだ。年を経るにつれて、わたしたちは動かなくなっていく。若くて、変化がまだ不可能でないうちに、もうすこしこの感覚の中で暮らしたい。

 春休みに、三月だと思えないくらいに寒いトロントで読んだ本で、とてもよかったものたち。

 

昨夜のカレー、明日のパン

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さようなら、オレンジ (単行本)

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Arts & Entertainments: A Novel

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ふくわらい

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