女は女である

雑記帳

映画

「her/世界でひとつの彼女」は、人工知能が神になる近未来の到来を予言した物語である

20歳の誕生日に渋谷で見た、ということでわりと思い入れがあるこの作品。 英語圏でHimといえば、その意味するところはたったひとつ。キリスト教の全知全能神である。キリスト教は一神教、つまり、その神は”世界でひとつ”の存在であるために、先頭の文字はキ…

映画を好む人には、弱虫が多い

名画座に行きたい。中はがらんとしていて、薄暗くて、いつもタバコとコーヒーのいりまじったような匂いがする。だいたいおじいさんやおばあさんがちらほらと座っているだけだから、人ごみがどうしても苦手な私にはちょうどいい場所だ。古い椅子は、座るとギ…

赤い風船(1956年・フランス)

舞台はパリ20区のメニルモンタン。36分の短編作。コクトーが「妖精の出てこない妖精の話」と評したといわれるおとぎ話で、まるで絵本を眺めているかのような映像の美しさが何よりも印象的。いわさきちひろが絵本化した「あかいふうせん」はけっこう有名らし…

パリ20区、僕たちのクラス(2008・仏)

「パリ20区、僕たちのクラス」 2008年、第61回カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した本作。 巨匠写真家ウィニー・ロニスに街角の風景を収められた写真集がカルト的な人気を博すパリの20区は、パリの中でも移民の多い庶民的な下町として有名。 この映…

4ヶ月、3週と2日(2007・ルーマニア)

「4ヶ月、3週と2日」(ルーマニア,2007 クリスチャン・ムンギウ監督) 2007年公開のルーマニア映画。ルーマニア映画って、どんなものかピンとこない人も多いかもしれない。 じつは2000年代に入ってからルーマニアは若い才能をつぎつぎに輩出する映画新興国…

「天国の口、終わりの楽園。」(2001・メキシコ)

「天国の口、終わりの楽園。」 2001年公開のメキシコ映画。R15指定にも関わらず本国で大ヒット(その過激さゆえ、かもしれないけど)した青春ロードムービー。監督は去年の話題作「ゼロ・グラビティ」を製作したアルフォンソ・キュアロン。「パンズ・ラビリ…

ベルリン、天使の詩(1987・西ドイツ)

ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが監督し、後年ハリウッドでニコラスケイジ主演のリメイクもされた本作。 まだドイツがベルリンの壁によって東西に隔てられていたころに撮影された映画。だから舞台はベルリンだけど、この映画に登場するベルリンはもうどこ…