女は女である

雑記帳

赤い風船(1956年・フランス)

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舞台はパリ20区のメニルモンタン。36分の短編作。コクトーが「妖精の出てこない妖精の話」と評したといわれるおとぎ話で、まるで絵本を眺めているかのような映像の美しさが何よりも印象的。いわさきちひろが絵本化した「あかいふうせん」はけっこう有名らしい。

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メインの登場人物は主人公の少年パスカルと真っ赤な風船。ある日パスカルが電灯にひっかかっている赤い風船を見つける。その風船には意思があるようで、まるで子犬のようにパスカルに懐き、彼の行く先々についてくる。雨の日にはパスカルは風船を傘に入れてやる。パスカルと風船はパリの町並みを、楽しそうにめいっぱいかけまわる。

 

パスカルがとにかく愛らしい。パスカルはラモリス監督の実の息子だそうで、その愛らしさを画面に最大限に引き出せたのも納得。

 

パスカルが風船を呼ぶ”balloon!”ということば以外に台詞がない、究極的にシンプルな36分の物語。風船を買い集めて空を飛ぶことを本気で計画していたような、だれもが経験した子どもの時代を憧憬させる。説明よりも、ただぼんやりと感じるのが一番の鑑賞法かもしれない。

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