女は女である

雑記帳

わたしはポテサラを買うことができない

わたしはポテサラを買うことができない。買おうとするたび、心に棲みついた「ポテサラじい」が「ポテサラくらい作ったらどうだ」と自分に囁くからである。だから、これからスーパーでポテサラを買う練習をしたいと思う。 一人暮らしをし、パートナーと同棲を…

性的いたずらは女性の日常

普通の女性(私)がこれまでに受けた性的ないたずらについて書きます。周りの男性に話すと驚かれますが、この程度の不愉快ないたずらは世の中にありふれており、もはや日常となっていると感じています。 8歳のとき、小学校から双子と一緒に帰る道の途中、金…

夜空の星を掴もうとして足下の草花を踏み潰す人間にはなりたくない

夜空の星と足下に咲く花の対比がモチーフとして使われていたのは、確、坂元裕二のドラマ作品だったっけ。私の仕事では、取り組むプロジェクトについて語るときは、主語の最小の枠組みが「日本」だったり、「開発途上国」だったり、そんな大きなスケールの話…

テロの恐怖とは、「大気を支配すること」である

ドイツの哲学者であるペーター・スローターダイクが著した「空震 テロの源泉にて」は、Luftbeben、英語にするとAirquakeというタイトルで2002年に出版された。2001年のニューヨークにおける同時多発テロを受けての考察が本書の中軸となっている。今年の11月1…

ルソーの国際政治観

ルソーは、『学問芸術論』『政治経済論』『人間不平等起源論』『社会契約論』のいずれにおいても、国際関係については踏み込んだ議論を行っていない。ルソー自身も、『社会契約論』の結語では「国家をその対外的な関係によって強固にするという課題がまだ残…

アルバイトの終わり

明日でバイトが終わる。1年生の2月からお世話になり、1年の留学の後もお世話になったバイト先。合計で、2年ちょっとはたらいていたことになるはずだ。最初は整然とした建物のようすと、静かな社員さんたちになかなか落ち着かなかったけど、今では映画館の席…

7,8月読んだ本

スティル・ライフ (中公文庫) 作者: 池澤夏樹 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1991/12/10 メディア: 文庫 購入: 14人 クリック: 92回 この商品を含むブログ (143件) を見る 光の子供 (新潮クレスト・ブックス) 作者: エリックフォトリノ,´Eric Fottori…

最近のこと

(3月に行った万里の長城) 就職先が決まるまではほんとうに「一分一秒を争って」、公務員試験の勉強をしていた反動からか、いまは伸びきったゴムのように力が出せないでいる。 というか、力を入れるのがむずかしいのだ。試験勉強のときは、時間があるときは…

11月に読んだ本

あしたから出版社 (就職しないで生きるには21) 作者: 島田潤一郎 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2014/06/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (27件) を見る アニバーサリー (新潮文庫) 作者: 窪美澄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/07/29 …

春画展に行ってきた話

先週、大学から徒歩5分ほどの距離にある永青文庫、そこで開かれている今話題の春画展に行ってきたことのメモ。私と先輩、たった二人が受講しているフランス語の授業の一環として、マダムと三人で行きました。 ポルノはいつの時代もリピートだということを実…

10月読んだ本

借りの哲学 (atプラス叢書06) 作者: ナタリー・サルトゥー=ラジュ,國分功一郎(解説),高野優,小林重裕 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2014/02/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (9件) を見る 贈与関係ではなく「借り」の関係を築くことで、ネオ…

東京

生きていくということは、昔思っていたよりもむつかしくないような気がする。でも、やさしく、きれいなものを大切にしながら生きてくのは本当にむつかしいと思う。 東京はなんでもある。 ものがありすぎる。豆乳をのみたいとコンビニによれば、3種類くらいの…

ものかき

最近仕事で記事を書いているわけだけど、ひんぱんにじぶんじゃないなにか、社会にはびこるあの虚構の存在にのまれそうになって怖くなる。よくあるキャッチーな文章をまねていると、じぶんがみじんも思っていないようなことを平気で書いてしまうのだ。そんな…

生理は悪いものでもない

生理ほど嫌いなものはないが、生理がなければどうなってしまうのだろうと思うこともある。 生理が毎月近づくにつれて、肌は荒れはじめ、体を重く感じるようになり、気分もむやみに淀みがちになる。じぶんの体が少しずつうまくうごかなくなると、そろそろやっ…

パリでのひと夏

パリで、べつべつの国からやってきた学生たちと、ひと夏を過ごす、という、まるで数年前みた「スパニッシュアパートメント」のような生活をしている。 平日は9時から16時くらいまでパリ政治学院で授業をうけ、その後は美術館によったり、パン屋やマルシェで…

「her/世界でひとつの彼女」は、人工知能が神になる近未来の到来を予言した物語である

20歳の誕生日に渋谷で見た、ということでわりと思い入れがあるこの作品。 英語圏でHimといえば、その意味するところはたったひとつ。キリスト教の全知全能神である。キリスト教は一神教、つまり、その神は”世界でひとつ”の存在であるために、先頭の文字はキ…

思い出はみえない

引き出しの奥には、赤と、青と、橙色と、いろんな色のビー玉たちが潜んでいる。それぞれのビー玉の中には、違った世界が広がっている。重みのあるそれを一つとりあげて、じっとのぞいてみる。最初はぼんやりとしかみえないけれど、だんだん目が慣れてくるの…

鈍感さという暴力、鈍感さという救い

藤野可織さんの「爪と目」、鹿島田真希さんの「冥土めぐり」を読んだ。 両方とも芥川賞を受賞したという共通点はあるものの、この2冊は違う作者によって書かれた全く違う話。でも、鈍感さが周囲に与える影響を描いているという点では同じといえる。 爪と目 …

人種は交換可能?/“Your Face in Mine” (Jess Row)を読む (1)

ジェス•ロウが書いた、“Your Face in Mine”という本がある。 2014年夏に発売されたこの本は、そのセンセーショナルさからアメリカ国内ではかなり話題になったよう。人種問題への関心が高くはないからかどうかはわからないけれど、日本ではまだ有名じゃないみ…

ホームシックをなおしてくれた本たち

どうやらわたしはホームシックにかかってしまったみたい。 日本の生活の中にあった、形容するのが難しいあの雰囲気をとてつもなく恋しく思っている。日本に帰りたいとは思わない。だって、帰ったとしても、私はきっとまた別の居場所を探そうとするだろうから…

グローバリゼーションのもとに輝くインド/"City Dwellers: Contemporary Art from India" (Seattle Art Museum)

グローバル化の流れがあらゆる国の文化にも多大な影響をおよぼしているのは周知のこと。 豊潤な文化をもつインドもその例外ではなく、グローバル化がつれてきた資本主義システムと消費社会はその文化に大きな変容をもたらしている。 わたしたちがインド文化…

"The Common SENSE”/アン・ハミルトン(Henry Art Gallery)

わたしが通うワシントン大学には、ヘンリー・アート・ギャラリーという画廊がある。大学附属だけど、有名なキュレーターのついたれっきとしたギャラリーで、これまでも世界中のアーティストの展示が企画されてきたらしい。 シアトルについてからしばらく閉ま…

孤独を飼いならす

(Rinko Kawauchi) さみしさ、はいつもいつもわたしにつきまとう感情。それから逃げることをこころみたり、ほかのことで頭をいっぱいにしてその存在をわすれようとしたり、本当に、小学生のころから、長いあいだもがいていたけれど、これを私から引きはがすこ…

ソ連崩壊から23年、理想国について語る可能性について

(Ryan Mcginley) 理想国の構想は古今東西で散見される。中国の桃源郷や、インドのシャングリラなど、人々は理想の楽園の存在を夢想し憧憬を抱いてきた。理想国の概念は多くの宗教に頻繁に登場するもので、たとえばキリスト教においてはエデンの園と最終目的…

「意識高い系」高校生の功罪

(Yuki Aoyama)わたしが高校生だったころ、いわゆる「意識高い系」の世界にあしをつっこんだことがある。 はじめて学生団体のイベントに参加したのは高1の春休みのときのこと。そのイベントは、高校生と大学生が集まり、いくつか分科会に分かれて、設定され…

こちらあみ子(今村夏子)

三島由紀夫賞受賞作。高校生のときにタイトルをどこかで耳にして、なんとなく気になるなあと思いながら、なんだかんだ読み損ねてしまっていた本。ふたごが古本屋で手に入れていたので、読ませてもらった。 読み終えたとき、なんて恐ろしいものがたりなのだろ…

マイノリティになること

(Rinko Kawauchi) アメリカで暮らしはじめて、今まで自分が日本の文化的コンテキストでしか通用しない記号に包まれて生きていたのだ、ということを深く実感してる。 説明を省略しても伝わる記号、そして自分のステータスをある程度保持してくれる記号は、ア…

映画を好む人には、弱虫が多い

名画座に行きたい。中はがらんとしていて、薄暗くて、いつもタバコとコーヒーのいりまじったような匂いがする。だいたいおじいさんやおばあさんがちらほらと座っているだけだから、人ごみがどうしても苦手な私にはちょうどいい場所だ。古い椅子は、座るとギ…

赤い風船(1956年・フランス)

舞台はパリ20区のメニルモンタン。36分の短編作。コクトーが「妖精の出てこない妖精の話」と評したといわれるおとぎ話で、まるで絵本を眺めているかのような映像の美しさが何よりも印象的。いわさきちひろが絵本化した「あかいふうせん」はけっこう有名らし…

パリ20区、僕たちのクラス(2008・仏)

「パリ20区、僕たちのクラス」 2008年、第61回カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した本作。 巨匠写真家ウィニー・ロニスに街角の風景を収められた写真集がカルト的な人気を博すパリの20区は、パリの中でも移民の多い庶民的な下町として有名。 この映…