女は女である

雑記帳

ムード・インディゴ うたかたの日々(フランス・2013)

 

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渋谷のCINEMA RISEで「ムード•インディゴ」のディレクターズカット版を友人たちとみた。

 私はフランスの戦後の知識人やら哲学の動きや共産主義の勃興あたりの雰囲気がとても好きなので、この映画もきっと好きになるのだろう、と思っていた。というかそもそも原作も先に読んでいた。

 原作がもともととてもファンタジーなので、これをどう映像化するのだろう、と思っていたけれど、この映画は原作をうまく踏襲していると思ったよ。

 この映画はラブストーリーだけれど、テーマはもしかしてお金なのかもしれない。コランは幸せそうな友人たちをみて恋人をほしがる。そのままパーティにいって可愛らしいクロエに出会う。クロエもまんざらではない様子で、二人はそのままつきあう。そして結婚。恋に障壁なんてなんにもないし、順調そのものなのだ。だから恋愛云々をテーマにしている訳ではないのだろう。

 ものがたりの冒頭、コランとその料理係のニコラ、そして「パルトル」かぶれのシックはパステルカラーの騒がしく動く食事たちを囲んで、たわいない会話を楽しむ。カクテルピアノや料理人が住んでいるテレビなど、魅力的なものに溢れ、ぜいたくをして過ごしている。映像はずっと目に痛いくらいのビビッドさ。このとき働かなくてもすむコランの残りの資産が最大。でもお金が急激に減っていくにつれて、どんどん映像は色彩を失う。お金が尽きたとき、気がつけばいつのまにか映像はモノクロになっていた。デュークエリントンの「ムードインディゴ」のナンバーと同じ。だんだん暗くなっていくわけ。お金の問題の切実さを、ボリス・ヴィアンは人一倍、めいいっぱい知っていたのだろう。

 

 

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